台風被害と高齢者施設

先週日本列島を横断した台風19号の被害は、被害の状況が明らかになるにつれ、大きな被害状況が伝えられ、被災地の事を思うと本当に心が痛みます。

 

 

 

今回の台風は、いままでの台風に比べ広域に及んだという事と長時間にわたって雨が降り続けたというなかで、被害が拡大してしまいました。

 

 

埼玉の高齢者施設でも水没した地域に取り残される形で、救助を待っていたという状況もありました。

 

 

各地で相次いだ河川の氾濫により、多くの地域での水害が発生しました。河川の氾濫は特に下流域で起こりやすい事と、短時間で水かさが増しているという事に被害の拡大となってしまったものと考えられます。

 

 

高齢者や障害者は、特に避難時において時間がかかると言われており、こうした大型の施設では入所者全員が避難する、あるいは2階に移動するだけでもかなりの時間がかかるのも事実だと思います。

 

 

昨今の自然災害においては、風や水、地震どの災害についても想定を超えるものが多くなってきていると感じています。

 

 

私たちは福祉施設の設計において、どのようにこうした災害に対応していくのか、考えさせられます。

 

 

 

津波被害の対策のように建設する場所の選定から防災を意識する事も求められる時代なのかもしれません。

 

 

 

避難するという事に、施設整備段階での配慮は、出来る限り動線を短くする事や複数の避難方向を確保する事など、意識さえしていれば何かしらの対応は可能です。

 

 

大きな災害から見れば、とても小さなことかもしれません、しかし、その一歩が人の命を救うこともあるという事を考え実行しておくべきだと考えます。

 

 

今出来る事。

それは、限られたことかもしれませんが、高齢者や障害者又は地域の方々を守り安心して暮らしていける場所を常に意識し、行動する事だと思います。

 

 

施設整備においても常にそういう目線で物事を考え提案していきたいと思います。

 




高齢者施設の停電対策

先月発生した台風15号では、千葉県において長期間に及ぶ停電が発生し、高齢者施設や障害者施設でも大変な状況となりました。

 

 

一般的にガスに比べると災害後の復旧は早いとされる電気ですが、この台風15号においては、想定外の暴風により、倒木などによる電線の被害により、各地域での復旧がかつてないほど時間がかかってしましました。

 

 

停電が続くとまだまだ暑い9月の生活においては大変な事です。高齢者施設では、熱中症などで亡くなってしまう方も少なくありません。

 

 

社会的弱者である高齢者や障害者施設においては「停電」というのは命にもかかわる、致命的な状況に陥るという事が改めてわかりました。

 

 

 

 

 

私たちの生活において電気は様々なシーンでなくてはならない存在となっています。電気が止まればエレベーターも動きません。エアコンもききません。トイレの水も流れません。食事の提供も難しくなります。

 

 

少しの時間であればなんとかしのげるかもしれませんが、1日、2日となると、とても生活すること自体が難しくなります。

 

 

私たちは、高齢者施設や障害者施設の設計において、こうした停電への備えとして、自家発電機による最低限の電力供給ができるようにしてきました。

 

 

エレベーターの電源や厨房の冷蔵庫、各所の非常用コンセントなど、自家発電において供給できる最低限の対策を行ってきました。

 

 

停電時に施設全体の電源を賄うという事になると相当の自家発電設備が必要になります。もちろんそれが整備できれば良いのですが、現実的ではありません。

 

 

はたして、どこまでの設備を、この災害用のために準備しなければいけないのか。という問題になってきます。

 

 

災害の対策は停電だけではありませんが、それぞれの災害にどこまでの対応をしておくかという事については建設コストとの兼ね合いも含め検討していく必要があるのです。

 

 

どんなときにも建築は人の命を守ることが最優先になるはずです。そんな視点に立って利用者の安全、安心のために日々意識し提案していければと思います。

 




高知の福祉施設

先日、高知で計画中の障害者と高齢者の複合施設の設計打合せに行ってきました。

 

 

 

建物が建つ敷地に立つと、造成工事の準備作業が少しづつではありますが、進んでいます。

 

 

このプロジェクトの始まりは5年くらい前にさかのぼります。

 

 

もともとの障害者支援施設と特別養護老人ホームが老朽化している事から、建て替えを行うというもので、敷地の選定の段階からご相談をいただき、いろいろな条件の中で敷地も数か所の検討を行い、ようやく良い敷地にたどりついたという感じです。

 

 

東日本大震災以降、この町でも津波避難タワーが建設され、高台移転という課題にも直面しました。

 

 

同じ法人が運営する、高齢者の小規模多機能施設は、そうした問題を抱えており、特に高齢者の方々はどうしても避難に時間を要する事から、なんとかこの高台に移転したいという事で、今回の計画に盛り込まれることになりました。

 

 

長い時間の経過とともに、津波への不安や老朽化した建物での生活の不安や不便さ、高齢者や障害者の方々にとっても一刻も早い建て替えが望まれる状況でした。

 

 

そうした意味で、準備が進む敷地に立つと、本当に嬉しく、同時に高齢者や障害者の方々が楽しく快適に過ごせる場所を作る責任も感じながらの設計打合せとなりました。

 

 

今回の計画では、地域の津波避難場所としても利用される施設となる事から、普段の生活のなかで地域の方々にも気軽に訪れてもらう施設にしたいと考えています。

 

 

「施設」というイメージを打開し、ここでの生活が楽しくなるような心地よい住まいができればと考えています。

 

 

 

湾の反対側からの景色です。

 

 

この自然豊かな素晴らしい環境の中で愛される場所を創っていきたいです。




福祉施設の防災を考える

今日、9月1日は防災の日です。

 

 

全国各地で防災訓練や、防災についてのイベントが実施されているようです。

 

 

 

(時事通信社より)

 

 

災害は忘れたころにやってくる。と言われますが、災害が起きてから時間の経過と共に防災への意識はどうしても薄れていく傾向にあります。

 

 

そういう意味で、この9月1日という日が、もういちど防災について考えるきっかけを私たちに与えてくれているものだと感じています。

 

 

私たちが係わる高齢者や障害者の施設は、特に防災という事については議論になる事が多く、身体的に弱者と言われる高齢者や障害者が災害時にどのように避難ができるのかといった事は、施設の設計においてとても重要な事だと思います。

 

 

 

記憶に新しい、京都で発生した「京都アニメーション放火事件」では火災における避難の難しさが伝わってきました。

 

 

体が元気な方々でも、いざ火災が起きてしまうと、どのようにしていいのかを瞬時に判断しすぐに行動を起こさないと安全な避難は難しいのではと感じます。

 

 

施設の規模が大きくなるほど、全員を無事に避難させるために要する時間は長くなります。

 

 

敷地や周辺環境の条件は様々ですが、出来る限り、一時避難ができるバルコニーや防火戸による区画等、ある程度時間がかかっても避難ができる状況を作っておくことが重要だと感じています。

 

 

また、地域における災害時の避難拠点であったり、福祉避難所としての地域の役割も大きな意味をもつことから、避難所としての動線計画や非常用の設備の整備なども地域と共に考えていかなければいけない課題だと思います。

 

 

「地域交流」の大切さは、こうした非常時の避難や避難所としての役割を維持するためにもとても大切な事です。

 

 

 

単に、地域との交流場所を作るだけでなく、普段から、地域の方々に来ていただく事で、施設の事も知っていただき、お互いに助けあえる関係性を築いていく事が今後の福祉施設に求められる重要な要素だと改めて感じました。




高齢者のための高齢者施設

特別養護老人ホームの整備を行う場合、各市町村において保険福祉計画による整備枠というものがあります。介護保険制度において運営される施設は、行政の計画に沿って整備がなされる事となります。

 

 

そうした中で、先日公有地での特別養護老人ホーム事業者募集があり、法人さんと共に1.5カ月くらいの準備期間で事業計画を作成し提出してきました。

 

 

提出後すぐに法人理事長を含めてのヒヤリングがあり、私も設計者として参加させていただきました。

 

 

提出した計画には、地域の方々が気軽に入って来る事ができるカフェスペースや、事業者の職員の子どもを預かる事のできる託児所など、特別養護老人ホームに付加価値を付けた提案となりました。

 

 

事業者の選定ってどのような基準で選定されるのか?

 

 

ヒアリングにおいて出る質問は、今問題となっている職員確保の事やクレームに対する対応など、どうしても役所が選定するため、そのような視点になっているのが残念に感じました。

 

 

もちろん、補助金を使って実施する事業ですから、安定した経営と間違いのない介護を実践し続ける事は大切ですし、高齢者の安心安全につながるとても重要な要素だと思います。

 

 

しかし、市民である高齢者の方々が老後の生活をいかにして楽しく生活していくかという事にもう少し目を向けなければいけないと感じています。

 

 

 

 

託児所を施設内に確保する事は確かに働く職員が働きやすい環境になる事は間違いありません。しかし、その事もそうですが、高齢者の生活の中に子どもの声が聞こえ、接する事ができ、コミュニケーションが生まれる事のほうが、大きな事だと私は思うのです。

 

 

自分が高齢者になった時にどのような生活をどのような空間の中で体験することができるのか。原点に戻って追及していきたいと改めて感じました。




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