人を巻き込む地域活動と福祉施設

「地方創生」「町おこし」等、地域の人たちを巻き込んで、地域の活性化を図る取り組みは、地方のみならず都心部においても増えているように感じています。

 

 

シェアハウスなどもコミュニティーを作るという意味では似ているところもあるかもしれませんが、いずれにしても個人的には大好きな考え方です。

 

 

東京都台東区上野桜木、東京の下町の古民家をリノベーションして、食や洋服などに関する店舗や地域の方々が集まれる場所を創り、地域の子ども達からお年寄りまで人が集まる場所として再生した「上野桜木あたり」。

 

 

地域の街並みを守るとともに、外部からの訪問者も含めて街の活性化に成功している事例だと思います。

 

 

 

(ソトコト2016.3より)

 

 

「住めば都」という言葉がありますが、一度住んでみると居心地の良さが分かると言われますが、確かにその通りだと思います。それぞれの地域にはそれぞれの特徴があり、歴史があり、コミュニティーがあるものです。

 

 

こした地域を盛り上げていくプロジェクトは本当に素晴らしいと思います。

それは、その地域の特徴を活かし、地域が活性化するとともに、その地域に住む方々との連携が生れるからです。

 

 

人は誰しも一人でいるよりも2人でいるほうが楽しいし、2人でいるよりも3人、4人でいるほうが話は弾みます。生活するシーンにおいても同じだと思っています。

 

 

朝、ゴミを出すときにご近所さんと取り交わす「おはようございます」という一言は本当に気持ちの良いものですし、近所を歩いている時に挨拶を交わす事で気持ちも高ぶるものです。

 

 

こうした街づくりの活動は、福祉施設の整備にも共通することだと思っています。

 

 

街の活性化や地域のコミュニケーションの拠点として、高齢者施設や障がい者施設の一角にその地域の特性に応じた場所を創ることで、そこに住む高齢者も地域と繋がるきっかけが作れるものです。

 

 

高齢者施設や障がい者施設の新築というと、どうしてもマイナスのイメージで捉えられる事が少なくありませんが、結果的には夏祭りや各イベントなどで、地域に喜ばれる事が多いと思います。

 

 

そういう意味では、人を巻き込む地域のプロジェクトには興味があります。

どのようにして人を集める工夫がなされているのか、どのような取り組みや発信がなされているか等、これからの福祉施設に必要な街にオープンなイメージをいかに創るかだと思います。

 

 

地域防災という意味でも、今後の福祉施設に求められる要素だと感じます。




多世代を繋ぐ福祉施設

週末に児童養護施設の見学に行ってきました。

児童養護施設についてはこれまでにお手伝いさせていただいた事はないのですが、私が小学生の時に友達が住んでいたのも養護施設であったため、子どものころによく遊びに行っていた記憶があります。

 

 

そもそも児童養護施設は、様々な事情によって家庭生活が困難な児童を受け入れ育成する事を目的としている施設で、最終的には家庭に返すという事が目的の施設です。

 

 

18才までの子ども達で、その後は就職したり自立するための施設ですが、数年で家庭に戻るケースもあります。

現在の日本は少子高齢化社会で、子どもの数は減っているのが現状ですが、両親が離婚したり、虐待を受けたりして家庭で生活ができない子供の割合は増えていると聞きます。

 

 

 

 

 

茨城県土浦市にある「児童養護施設窓愛園」さんは、大舎制の既存建物の内部改修で、グループユニット化した建物と、イベント等を行う新しい施設を増築した建物です。

 

 

 

周辺には田んぼがひろがっていて、のどかな環境で窓を開けると気持ちの良い風が流れる木造の建物です。

 

 

 

グループユニットとするための間仕切り壁は天井までの間仕切りではなく様々な高さの合板を組み合わせた感じで、ところどころに様々大きさの開口が開けられています。

 

 

グループユニットとしながらもお互いの声や気配が感じられる工夫がされていました。

 

 

 

 

 

 

続いて伺ったのが、つくば市にある「児童養護施設筑波愛児園」さんです。

こちらの施設も素晴らしい環境の中、ほぼ平屋という形で子ども達が伸び伸びと過ごせる造りとなっています。

 

 

つくば市にある施設ですが、東京都の事業という事で、都内の子ども達をお預かりする施設となっています。東京都内では創れない環境を造りたいという施設長さんの強い意志が感じ取れる施設です。

 

 

 

それぞれのグループは5〜6人単位で、年齢や性別もバラバラでて子ども達の中でもいろいろな世代が交わって生活しているのが特徴的です。2ユニットで1棟という分棟型でそれぞれが家であるというイメージで、外廊下のみでつながっています。

 

 

 

ユニットの内装は木材が多く使われていて、とても暖かい雰囲気の空間となっていました。

 

 

今回はこの2つの施設を見学させていただき、施設の方ともお話しさせていただいたのですが、こうした児童養護施設こそ、高齢者や障がい者施設との交流ができないかと感じました。

 

 

精神的にも不安定な子ども達ですが、みんな元気に明るく生活していました。

 

 

18才までの子ども達だけではなく、こうした環境に高齢者も一緒に住むことができれば、世代間交流ができお互い良い方向の刺激が受けられるのではと感じました。

 

 

また、どちらの施設も地域との交流を大切に考えていて、お祭りや各イベント等も施設内のスペースを利用して実施されているようで生活環境としてはとても良いと感じました。

 

 

日本における福祉施設の状況は、施設の種別ごとの整備となっていて、法的な縛りがしがらみになっているように感じてしまう事はよくあります。これからの福祉施設は子ども達や高齢者、障がい者、健常者も地域の方々も自然に交流できる環境や仕組みが大切だと感じるところです。




もっと福祉を面白く

「福祉や介護」という言葉のイメージは世間一般の方々はどのように思うのでしょうか?

 

 

多くの方は、ネガティブなイメージを持つものだと思います。

しかし、これはある意味仕方のない事かもしれません。テレビや新聞、雑誌など各メディアで流される情報の多くは事件や事故といったマイナスイメージのものが多いからです。

 

 

相模原で起きた障がい者施設の殺傷事件は、多くの方々の記憶に残る残念な事件となってしまいました。そしてまだ記憶に新しい川崎市の有料老人ホームで起きたベランダからの転落の事件。

 

 

 

世の中の動向としても、少子高齢社会といわれ4人に一人は高齢者という中での介護職員不足や特別養護老人ホーム等での待機者問題、老老介護や介護離職といった言葉も多くの方が認知されているほどのキワードとなっています。

 

 

 

昨日のTBSで放送されました、「好きか嫌いか言う時間」のなかで、現役介護士との徹底討論がありました。

 

 

 

 

その話の中で、「介護」という現実を知らない方が多いのだと感じてしまいました。

 

 

介護の仕事というものが、高齢者や障がい者の出来ない事をお手伝いするだけの事だと考えている方が多いのではないでしょうか?

 

 

もちろんそれも介護の仕事だと思いますが、その人の生き方や人生の方向を一緒になって考え、それを実現していく事が介護の仕事の面白さなのではないでしょうか。

 

 

また印象に残った言葉として、いくら給料を上げても介護職員は増えていかない、介護という職が憧れの存在にならないといけないという事です。

 

 

自分がやりたいと憧れる職業というのは、少しくらい給料が少なくてもやりたいと思うのではないでしょうか?

今の福祉や介護といった職業は、まだそういうイメージを持つ方が少ないという事です。

 

 

そして、福祉を盛り上げていくためには、やはり憧れる職業にならなければいけません。

福祉や介護のすばらしさや楽しさをもっともっと発信していく事が求められている事だと感じます。

 

 

そういった意味では、こうしてテレビ番組で討論されるように注目され始めた事は将来に向けての第一歩なのかもしれません。

 

 

私達も福祉施設の設計に携わる人間として、福祉施設のの設計者という立場から、もっと福祉を面白くしていきたいと思っています。




三浦市で進行中の特別養護老人ホーム

今日は、三浦市で工事が進められている特別養護老人ホームの現場に行ってきました。

 

 

 

現場では造成工事が進められており、建物が建つ部分の地盤レベルがようやく現れてきた感じです。建築工事については、併行して地盤改良の工事が進められております。

 

 

 

石積み擁壁の工事も始まり、建物本体の建設に向けての順調に工事が進められています。

海側にあった法面も一部が解体され、海が見やすくなってきています。

 

 

 

 

今日も本当に暑い日となりましたが、眼下に見える三浦海岸では、夏休みの子ども達や家族連れの海水浴客でにぎわっているビーチが現場からも確認できます。

 

 

今日の定例会議でもさまざまな議論がなされましたが、現場が進んでいくにつれて、より細かい内容について議論されることとなります。

 

 

(敷地に隣接する場所に建つ現場事務所)

 

 

現場でのさまざまな議論は本当に大切だと思っています。

事業主、設計者、施工者がそれぞれの立場でより多くの意見交換や議論を出すことで三位一体となり、完成度が高く、ソフト面ともあった建物ができるものと思っています。

 

 

まだまだ先は長いですが、このすばらしいロケーションの中で、高齢者の方々が安心して暮らせる場所を創り上げていきたいと思っています。

 




障がい者施設の安全対策

7月26日に相模原市の障がい者施設「津久井やまゆり園」で発生した事件から2週間が経過しようとしています。

事件発生を受けて、福祉施設の関係者や利用者の方々は不安な日々が続いていると共にこれからの防犯対策やセキュリティーについて様々な議論がなされています。

 

 

 

行政側からも各施設向けに対応策のさまざまな指導がなされているようです。

 

 

今回の事件は19人の方がお亡くなりになり、その他多数の方がケガをされているとともに、この施設で暮らす他の利用者さん達の心の傷も深いものだと思います。

 

 

全国的にも衝撃を受けた事件となり、今後の福祉施設の防犯対策も考えていかなければと感じてしまいます。

 

 

本日のNHKで放送された、「バリバラ」でも緊急企画が組まれ、さまざまな議論がなされましたが、どのような防犯対策が必要なのでしょうかと考えさせられます。

 

 

施設の施錠や職員の体制など、最低限のことは当然必要であると感じますが、今回の事件については元職員という事もあり、それ以前の問題であるとも感じてしまいます。

 

 

障がい者施設や高齢者施設をセキュリティーで固めて外部との関係を遮断する事がはたして安全対策だと言えるでしょうか。

 

 

障がい者施設や高齢者施設は、健常者の生活から切り離した施設での介護が一般的となっていますが、本当は一番良い介護というのは各家庭での生活の延長に介護が受けられる仕組みが良いのだと思います。

 

 

そうした状況に少しでも近づける事がこれからの施設整備においてまたは介護の在り方についての課題なのかもしれません。

 

 

街中に健常者も、障がい者も、高齢者も、子ども達も、みんなが一緒に生活できコミュニケーションが図れる環境づくりが、お互いの存在を理解し合い助け合っていく関係ができるのではと思います。

 

 

障がい者施設や高齢者施設の設計に携わる私たちとしても、やはり街に開く施設整備が必要だと感じています。

 

 

むしろ、それが当たり前の事だと感じますし、同じ社会の中で生きている共通の生活スタイルだと思います。

 

 

昔も今も高齢者や障がい者は存在します。昨今こうした虐待の問題や事件が多く感じるのは私だけでしょうか。

さまざまな制度や規制で良くなっている部分もあるとは思いますが、根本的な考え方も見直していく必要があると考えさせられます。




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