高齢者のための高齢者施設

特別養護老人ホームの整備を行う場合、各市町村において保険福祉計画による整備枠というものがあります。介護保険制度において運営される施設は、行政の計画に沿って整備がなされる事となります。

 

 

そうした中で、先日公有地での特別養護老人ホーム事業者募集があり、法人さんと共に1.5カ月くらいの準備期間で事業計画を作成し提出してきました。

 

 

提出後すぐに法人理事長を含めてのヒヤリングがあり、私も設計者として参加させていただきました。

 

 

提出した計画には、地域の方々が気軽に入って来る事ができるカフェスペースや、事業者の職員の子どもを預かる事のできる託児所など、特別養護老人ホームに付加価値を付けた提案となりました。

 

 

事業者の選定ってどのような基準で選定されるのか?

 

 

ヒアリングにおいて出る質問は、今問題となっている職員確保の事やクレームに対する対応など、どうしても役所が選定するため、そのような視点になっているのが残念に感じました。

 

 

もちろん、補助金を使って実施する事業ですから、安定した経営と間違いのない介護を実践し続ける事は大切ですし、高齢者の安心安全につながるとても重要な要素だと思います。

 

 

しかし、市民である高齢者の方々が老後の生活をいかにして楽しく生活していくかという事にもう少し目を向けなければいけないと感じています。

 

 

 

 

託児所を施設内に確保する事は確かに働く職員が働きやすい環境になる事は間違いありません。しかし、その事もそうですが、高齢者の生活の中に子どもの声が聞こえ、接する事ができ、コミュニケーションが生まれる事のほうが、大きな事だと私は思うのです。

 

 

自分が高齢者になった時にどのような生活をどのような空間の中で体験することができるのか。原点に戻って追及していきたいと改めて感じました。




特別養護老人ホームの夏祭り2019

まだ梅雨明けのという発表はないまま不安定な天気が続いていますが、今日はとても暑い一日となりました。

 

 

先週末は大和市にある「特別養護老人ホームみなみ風」の夏祭りに伺ってきました。

 

 

 

こちらの施設では中学生や高校生といった学生さんのボランティアも多く、それぞれの出店ではそうした若い方が積極的にお手伝いしていただいていて、高齢者や地域の方々との交流が良く出来ている印象です。

 

 

 

地域のさまざまな団体や職員による演技なども、入居する高齢者にとっては楽しみの一つとなっています。

 

 

そして今日は、相模原市の「特別養護老人ホーム縁JOY」の夏祭りに伺いました。

 

 

 

 

 

こちらの夏祭りは毎年テーマを掲げて実施されているのですが、今年のテーマは「JOY stagram夏祭り」という事で、入居者やご家族、地域の方々のインスタ映えする想いでの写真を残し、夏の思い出をつくろうという物。

 

 

 

イベントに来た親子が楽しむ姿が見れる事は、入居する高齢者にとっても嬉しい事です。

 

 

 

 

施設の内部では、この日だけはと、晩御飯はお祭りの出店で販売している焼きそばや焼き鳥を楽しんでいました。

 

 

入居する高齢者の方々もとても楽しまれていて建物の設計に携わった者としては本当に嬉しく思います。

 

 

この時期は毎週のように高齢者施設のお祭りに行っています。

 

 

年に一度でも、自分達の設計した施設が、どのように使われているのか、どのような人たちが建物を使ってくれているのか、そしてどのように変化しているのか。など実際に現場で感じる事は大切だと思っています。

 

 

イベント時に必要な物や、人の動線、スペースの取り方など、いつになっても勉強するところは沢山あります。

 

 

地域の子ども達が走り回る事

出店に並んでいる方々

車椅子をおしているご家族

高齢者と会話している方々

イベントに夢中になっているお母さん

 

 

そんなどこにでもある夏祭りの光景が当たり前のように繰り広げられている事が本当に嬉しく、ここに住む高齢者にとって、素晴らしい思い出の一つがまた一つ増えていく事に喜びを感じ、改めて地域との係わりの大切さを感じました。

 

 

 




建物のリノベーションと福祉施設

日経アーキテクチュア2019-6-27号に建築物のリノベーションにおける法的問題についての記事が掲載されています。

 

 

 

近年、日本においてもリニューアルやリノベーションといった既存建物の有効活用は、建設費の高騰と共に注目されている分野の一つだと感じます。

 

 

しかし、建築基準法による規制は、とても判断に難しく、法的な問題で残念せざるを得ない場合もある事は確かです。

 

 

特に、用途変更を伴う場合は、元の用途と変更する用途の安全性基準に違いにより、元の用途より厳しい基準になる場合は特に注意が必要だと言えます。

 

 

高齢者施設などでも、過去に学校をリノベーションして入所施設を創った例もあります。

 

 

福祉施設においてよくある問題としては、増築についてだと感じます。

敷地内に物置を設置したり、外部のバルコニー下に喫煙所を設けたりするケースは実際にある話です。

 

 

法的に、増築という扱いになる場合もあるため、必ず設計者に相談してから進める必要があります。

 

 

知らないうちに増築となってしまっていた場合、次に施設の増築や大規模の模様替え等、建築確認申請に係る事をしようとする場合、違法という扱いになってしまうと実現が不可能になってしまいます。

 

 

それ以前に、施設に火災や震災があった場合、もし違法増築となっていた場合には、施設を所有、運営する法人自身が責任に問われる事となるため、注意が必要です。

 

 

建物のリノベーションや増築、改築など、今後はさまざまな建築の方向性が出てくると共にこうした法的な問題への対応は必須であるため、専門家に相談する事をお勧めします。

 




高知の福祉施設

週末に、現在、設計を進めている高知県安芸市の施設に打合せに行ってきました。

 

 

 

 

元々は障害者支援施設と特別養護老人ホームの複合施設として運営しており、建物の老朽化に伴い建て替えを行うのですが、隣接する場所に土地が確保できないことから、同じ市内の別の場所に移転建替えという形でプロジェクトが進んでいます。

 

 

移転先の敷地は高台となっており、津波からの被害が出ないという想定の場所となっており、地域の津波避難場所としての整備も含まれています。

 

 

しかし、障害者支援施設と特別養護老人ホームの両方を移転できるだけの面積は無く、まずは障害者支援施設の移転と市内にある高齢者の小規模多機能施設を高台に移転するという事で計画が始まっています。

 

 

 

敷地からの風景ですが、安芸市内の昔からの住宅と奥に海が見えるロケーションとなっています。

 

 

障害者と高齢者の複合施設というのも世の中には少ない事例ですが、こうした異なる施設が一緒に出来るというのは良い事だと感じています。

 

 

いろいろな世代という事で、障害者支援施設にはさまざまな年代の方が利用されていますし、なかなか普段高齢者との交流も少ないと思います。

 

 

もちろん子どもの施設なども併設できればもっと良いのですが、こちらの場合、地域の避難場所としても活用されることから、普段から一般の方々にも入りやすい施設を目指しています。

 

 

施設を利用する方々の違いや、保険制度の問題、職員の専門性など、施設種別が異なる事でどうしても分ける部分は出てきますが、障害者と高齢者あるいは地域の方々が入り交じった活動ができる施設にしたいと考えております。

 

 

 

 

現在の障害者支援施設の内部の写真です。

 

 

今回の打合せにおいても数名の職員からご意見を聞かせていただきました。

 

 

 

毎回、打合せでは様々な意見や要望が出てきます。

より良い物を創っていきたいという職員の皆さんの気持ちを感じる事ができ、とても嬉しく思うとともに、その結果が利用者さんの生活や活動をより良いものにしていくために設計者として意見を取りまとめ、それをアレンジしながら提案していきたいと思います。

 

 

来年、早々の建物着工に向けて打合せは続いていきます。




ぶどう畑とワイナリーを持つ障害者施設

週末の8日(土)〜9日(日)に栃木県足利市にあるワイナリーに行ってきました。

 

 

東北道の足利インターを降り、人里離れた山奥に進んでいくと、足利市内でも人気のレストランとなっているココ・ファーム・カフェがあります。

 

 

 

 

店内に入ってみると、この日もお客さんでいっぱいです。

 

 

 

そして奥に見える山が、なんとぶどう畑になっています。

 

 

ここでは障害者の方々がぶどうづくりをしており、隣接するワイナリーでワインの製造・販売もがおこなわれているのです。

 

 

 

担当者の方に数種類あるワインの説明を聞きながら試飲させていただき、ワイナリーの見学をさせていただきました。

 

 

 

ワイナリーの一角には、山にトンネルを掘って作った自然のワインセラーがあります。

 

 

 

夏場でもひんやりとした内部は自然が作り出す温湿度となっています。

 

 

 

そんなセラー内部には沢山のワイン樽が並べられ、長期熟成しているワインもあるそうです。

 

 

 

 

ぶどうは畑の頂上からの景色は、こころろみ学園の全容を見渡すことができる気持ちの良い場所でした。

 

 

ぶどう畑はとても急斜面となっていて、作業としては苦労する場所ですが、南側斜面で水はけも良く、ぶどうの育つ環境としてはとても良い条件となっています。

 

 

ワインを飲む人の笑顔のために、妥協せずに作り続けている結果が、世の中の人気のワインとなりここで働く障害者の方々にも良いモチベーションとなっているのだと感じました。

 

 

運営するこころみ学園の基本的な考えは

 

1、職員と入園者たちとの差別をしない

2、自然の中の質素な生活を大切にする

3、労働を大切にする

4、地域との協力態勢を強化する

 

 

との事で、障害者も職員も地域の人たちも分け隔てなく入り交じりる事で、この心地の良い空間は生まれているのだと思いました。

 

 

 

今回の視察メンバーは、社会を楽しくする障害者メディア「コトノネ」の読者仲間で、普段から障害者に係るさまざまな仕事をされている方々です。

 

 

宿に戻ってからは、見学した感想や自分たちに出来る事、これからの障害者施設など、障害者施設にまつわる様々な議論が飛び交い、夜遅くまで議論となり、とても良い視察旅行となりました。

 

 

こうした人たちがいる限り、日本の障害者施設の未来は、もっともっと良くなると感じるとともに、さらなる発展を見出していくきっかけになるのではと改めて感じました。

 

 

私たちも、障害者施設の建築設計という立場から、障害者や高齢者が安心して過ごせる、楽しめる人生を設計していきたいと考えています。




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