中国福祉施設視察の旅ー2
今日は、北京の高齢者施設を見学させていただきました。
最初は、北京郊外の団地の一角にある高齢者施設で、低所得者向けから高所得者向けの施設が別棟で配置されている施設です。
日本でいうとグループホームのようなこじんまりとしたスペースに5〜6人で住まう感じです。こちらは低所得者向けの施設となっており、一部屋月額5万円ほどです。
下の階には共用部にベッドだけが並べられたスペースが。
ここは月額2万円ほどで入所できると聞きました。
少し寂しくなりますが、比較的重度の方が介護主体で入所される方が多いようです。
同じ運営者で、別敷地に建てられている高級な高齢者施設です。大きな庭がありとても穏やかな雰囲気が出ています。
外部には散策路が設けられ、気候の良い時期には散歩ができるように手入れされていました。
内部の共用部の様子です。床は高級感のあるカーペットで壁面には木製の本棚、飾り棚などが大きく確保されていました。
月額30万円を超えるこの施設は、麻雀などを楽しむゲーム室や、マーッサージ室、映画鑑賞の出来る室等、内部においても充実した設備が整っていました。
そして次に訪れた高齢者施設は、北京の空気汚染により、内部に庭を設けた施設で広大な敷地にすべて平屋で建てられた定員600人の大型施設です。
なんと、一角には池があり、鯉が優雅に泳いでいました。
共用部の内部のしつらえはまさに中国の文化を感じさせるものとなっており、24時間、365日医師が常駐し医療部分に特化した施設です。
こちらは部屋によって利用料金も異なり、約34,000円/月〜約120,000円/月、北京の方に人気の施設で、入所するためには1年前くらいに予約入れなければ入れないとの事です。
そして次に訪れたのは、200人定員で、広大な屋外スペースに、ゲートボール場、イベントスペース、ベスケットボールコート、バドミントンコート等を備えた施設です。
内部の写真はNGでしたので外観写真で見ると、各室の外部にはバルコニーが設けらえれていました。
しかし、施設の特徴でもある屋外の運動スペースがうまく活用されず、ゲートボール場にもこのように落ち葉が積もってしまっていました。
今回は、北京でも特徴のある施設を訪問させていただきましたが、それぞれの特色があり、それによって建築の創り方も変わってくることを実感いたしました。
日本と違って、中国では原則として民間会社が設置運営しているのがほとんどで、利用者からの入居費で運営がなされているものが多いと聞いています。
そのために、やはり利用者やそのご家族に選ばれる施設でなければいけません。内装をデザインするうえでの素材選定や色彩計画はその方向性を明確にし、こだわりを持つことで居心地の良い落ち着く場所ができるのだと思っています。
また、利用者に選ばれる施設は、何か利用者が求める事の一つに特化し、それに対して他にはできないところまで追求していく事が結果、人気に結びついているように感じました。
日本と同様に、介護分野の若い働き手が少なく困っているのも現状の課題としてあがっており、介護者の高齢化も課題となっているようでした。
そして滞在するMUJI HOTEL BEIJINへ。
新しくできたMUJI HOTELのインテリアは、本当に居心地がよく落ち着ける空間です。
私たちがそう感じるもの。それは必ず高齢者も障がい者も同じはずです。
それぞれ国によって文化の違いはありますが、徹底したコンセプトのもとでのインテリアは統一感があり、とてもこだわりを感じます。
そうした考えを、これからの高齢者施設にも活かしていければと感じました。