3.11の記憶
東日本大震災から本日で8年が経過したことになります。
早いと感じるのか、遅いと感じるかは人それぞれの想いがその違いを生んでいる事だと思います。
あの日からすべては変わった。
私たち建築に携わる者からみると、特にそう感じるのだと思います。
「津波」という災害の意識はそれまでは無に等しかったのではないでしょうか。東日本大震災を機に津波避難場所が指定され、海抜の低い地域では街中のいたるところに海抜〇〇mの表示が記されています。
地域によっては、津波避難タワーが建設されていたり、建物の屋上に避難できるようにと外部階段を設置したり、地震予測も、携帯電話の普及と共に定着してきています。
東日本大震災での死者は1万5897人、行方不明者は2533人、災害関連死は3701人となっており、この災害の記憶は、これからも一つの教訓として残り、伝え続けていかなければいけない事と改めて感じています。
特に、災害関連死は年々増え続け、ここまでの犠牲者の人数となっており、高齢者や障がい者においても、さまざまな形で震災後に亡くなる方も多いと聞きます。
時間の経過と共に風化していく記憶、人の意識はそんなものでしか無いのかもしれません。しかし、私たち設計者は災害の事を常に意識し、高齢者や障がい者施設の安全、安心を提供していかなければいけません。
現在取り組んでいる障がい者と高齢者の併設施設の一部は、将来の津波の影響を考慮し、高台に移転するというものです。町の津波避難所としての役割も兼ね備えた地域と共に生きる施設になります。
地域の方々にも気軽に入ってこられる施設とし、災害時にも自然に集まってくるような施設でありたいと思っています。
子どもも、大人も高齢者も障がい者も、誰もが気軽に立ち寄れる場所こそが、地域の避難所となり防災の拠点としても機能するものと考えております。
あの3.11の記憶を忘れる事なく、災害に強い、高齢者施設や障がい者施設を提案していきたいと感じました。