福祉施設の仕上材

高齢者施設や障害者施設の設計において、外装仕上げや内装仕上げ材の選定はとても重要な要素です。

 

 

空間づくりにおいて、仕上材料は、直接視覚的に見たり、触れたりとある意味で空間の印象を決める大きな要素だと思っています。

 

 

 

「PAL ASUNARO ランチルーム」

 

 

こちらの写真は相模原市にある障害者の就労支援B型事業所内部の利用者さんのランチルームです。

 

 

もし、この空間において床が病院のようなシート張でテーブルもスチール製のものだったとしたらどうでしょうか。

 

 

恐らく、ここで休憩を取りながらランチをする時に、ゆっくりと過ごせない、落ち着きのない空間になるのではと思います。

 

 

床が違うだけで、天井材料が違うだけで、おそらく空間の印象は変わり、少なからず利用者さんの居心地も変わってくると思います。

 

 

仕上材料の選定は、その素材や色、張り方など設計によってさまざまな表現が可能です。もちろんプロジェクトにはそれぞれ予算がありますので、全ての場所にコストをかけられるわけでもありません。

 

 

少なくとも、メインの施設利用者となる高齢者の方々や障害者の方々が、くつろげたり、元気が出たり、落ち着ける場所を創るために、どのような材料が良いのか、色彩がよいのか、答えが無い世界のなかで試行錯誤を続けていきます。

 

 

施設整備において私たちが打合せをしているのは、ほとんどの場合運営者の方々との内容となります。どうしても、掃除がしやすいとか、耐久性が良いとか、そんな話に陥ってしまいます。

 

 

そんな時に一度、利用者の目線になって考える事が大切です。

 

 

福祉施設は高齢者や障害者の住まいです。一日の生活がそこで始まり、そこで終わる場所です。1年365日を過ごす場所です。場合によってはその場所が終の棲家となります。

 

 

「グランドオーク百寿 居室入口」

 

 

建具や手摺が木製である事。ただそれだけの事かもしれません。しかし、それがとても重要だと私は感じています。

 

 

施設整備においては、プロジェクトごとのコンセプトはとても重要です。福祉施設の仕上材料の選定においても、コンセプトに沿って選定するという事。そして、機能を守りながらも利用者の気持ちになって考えてみるという事です。

 

 

そんな想いで、高齢者や障害者が、それぞれの居場所を創るお手伝いをさせていただければと思っています。

 

 

 

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父の日、高齢者施設を考える

今日は、朝から自宅の電話が鳴った、実家の父からでした。

 

 

そして、その瞬間思い出しました。「今日は父の日だ」

 

 

例年は母の日や父の日というと、プレゼントを選びにショッピングに出かけるのですが、今年は、このコロナの自粛もあり、母の日もプレゼントが出来なかったので、父の日にまとめて通販で手配し配送したものが届いたことの連絡でした。

 

 

何かのきっかけがなければ自身の父や母と連絡を取る事もないわけですが、こういうきっかけがあり少し電話で話をしました。

 

 

考えてみれば自分の父親も77才となり、まさに後期高齢者と言われる世代です。

 

 

おかげさまで、いろいろと体の不調はあるものの、夫婦2人で田舎暮らしを続けている現状です。

 

 

私自身も介護という問題に無縁ではなくなってきたと感じています。もし、自分の親が介護が必要になったら、やはり田舎での暮らしは現実的には難しく、自分たちの自宅近くで高齢者施設を探さなければいけません。

 

 

おそらく、今後団塊の世代の方々が高齢化し、施設への入所が必要になる場合、どうしてもそういった状況は考えられる事かと思います。

 

 

都心部において、高齢者施設の待機者が多い理由の一つでもあると思います。

 

 

普段から、高齢者施設の設計にかかわっているわけですが、父の日に改めて自分の事として、高齢者施設に求められるものを考えるきかっけにもなりました。

 

 

(グランドオーク百寿)

 

 

設計においても自分自身が、高齢者になって住みたくなるものを常に意識しながら、提案をしていますが、自分の親を入所させるとしたら、どんな施設が良いだろうか?

 

 

おそらく答えは一つではありません。

その人の育った環境や生きてきた時代背景、かかわってきたまわりの人達、職業、趣味・・・様々な要素が少なからずその人の生活に影響を与える。そして、どんな環境が落ち着く場所なのかという事は人それぞれにあるのだと思います。

 

 

もちろん、高齢者施設に入所する方は多くの方がいて、それぞれ皆の心地よいと思う空間を一つの答えとして提供する事は難しいです。より多くの人に受け入れられる生活空間を実現する事がわれわれ設計者の役割だと思っています。

 

 

「居心地の良い施設」というのは、やはりその人らしい生活ができる場所であり、それは空間というハード面の役割よりもソフト面の役割のほうが大きいとも感じます。

 

 

それぞれの生き方を模索し、生活がしやすいようにソフト面を活かす空間づくりも考えていかなければいけません。

 

 

その人が求めるもの、その時代が求めるものは常に変化しているはずです。私たちも常に模索しながら次の新しい高齢者施設を追究していければと思います。

 

 

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地域のための福祉施設

今日は、現在設計中の某特別養護老人ホームの近隣説明会に参加してきました。

 

 

何もない敷地に建物を建てるという事は、その場所が市街地であればあるほど、近隣への影響は少なからず出る事は当然の事です。

 

 

昔からそうですが、高齢者施設や障害者施設というと尚更、反対される事はあります。

 

 

もちろん、それがどんな用途の建物であっても、自宅の前に大きな建物が出来て、日影になったり眺望が悪くなったり、音やプライバシーの問題などさまざまな理由で歓迎する人は少ないと思います。

 

 

しかし実際には、購入する家の隣接地に空き地があれば、将来そこに何か建物が建つのではと考えている事はあるはずです。

 

 

そんな近隣とのトラブルを避けるために、建築基準法や各行政での条例などによって建物の高さ制限や日影規制、用途の規制などが定められているわけです。

 

 

しかし、実際にはそういう気持ちになる事もわかる気がします。

 

 

特別養護老人ホームを運営する側としては、地域の高齢者の生活、ご家族の少しの助けになるとの思いでやっている活動です。採算を重視して実施する事業でもなければむしろ、運営はかなりきびしいというのが実情です。

 

 

それが社会福祉法人というものです。

 

 

もちろん、近隣の方にもいろいろな方がいます。私もこれまで、どれだけの方にお会いし建物の説明をしてきた事か数え切れません。しかし、コミュニケーションというのはとても大切だと感じています。

 

 

最初は反対意見でも、何回か通いお話をしていると、事業の事を理解していただけることもあります。おおよその場合、近隣からクレームになる場合は、コミュニケーション不足だと感じる事が多いのです。

 

 

地域に根差した高齢者施設は、地域の方々とともに歩んでいかなければいけません。設置運営をする社会福祉法人も方々も、そのことを考え、地域の方々が気軽に入って来られる環境を創る事の重要性を知っています。

 

 

私達は、地域と高齢者、障害者を繋いでいく役割でもあり、やはり出来上がる建物が地域の方々に愛されるものでなければいけないと再認識するとともに、建築の力で繋げていけるのではと感じています。

 

 

最終的には、地域の方々の、近隣の方々の住みやすい環境を提供しているものである事を根底に、提案しつづけていければと考えています。




福祉施設の現場打合せ再開

週末に、現在建物の建替えを進めている、長崎県雲仙市の特別養護老人ホーム湯楽苑の現場に行ってきました。

 

 

4月以降は新型コロナウイルスの影響で緊急事態宣言が出ていたこともあり、現場には行けず打合せについてはビデオ会議にて進めてきました。

6月に入り、緊急事態宣言も解除され、神奈川県においても少しづつではありますが、感染者も少なくなってきた事から、感染拡大の対策を取りながら、現場に行く事にしました。

 

 

 

飛行機の状況については、便数がかなり欠航となっており、時間も早い時間や遅い時間の便が動いていないため、まだまだ本来の状態にはなりませんが、お客様も少しづつ増えているのではと思います。

 

 

マスク着用を義務付けしており、マスクをしていないお客様はゲート通過の際に注意を受け、マスクを着用していました。

 

 

 

 

2カ月もの間、現場に行けていなかった事もあり、以前来た時に比べてかなり進んでいます。

 

 

現場に行けない期間中も、常に現場の状況はメールや電話のやりとりで伝わってきていた事と、こちらの現場では、カメラを設置しており、どの場所においてもPCで現場状況をライブで確認できる事になっています。

 

 

 

 

今回の建物は高台にあるものの、建物を支える杭工事が必要な場所となっており、20mほどの鋼管杭を施工中です。

 

 

 

 

また、杭工事に平行して、外構工事や基礎配筋工事も並行して進められており、現場内は搬入された資材でいっぱいです。

 

 

 

杭工事が完了したところから、このように基礎や地中梁の鉄筋工事が進んでいます。

こちらは、コンクリート打設前に監理者の検査も必要です。

 

今回の長崎県の場合は、建築基準法による中間検査が基礎配筋時となっている事から法的にも、確認検査機関の検査を受けてからコンクリートを打設する必要があります。

 

 

現場での打合せも、極力大人数にならないように密を避けながらの打合せになるようにし、コンクリート打設前の細かい内容についての確認を行う事ができました。

 

 

ビデオ会議でも出来るところはありますが、やはり現場に来て気付く事や、細かい内容については現地での打合せも必要だと感じました。

 

 

今後もコロナの感染拡大に十分な注意をしながら、進めていければと考えています。




福祉施設の建設コストはどう変わる

新型コロナウイルスでの緊急事態宣言は、先週月曜日に解除され、初めての週末をむかえました。

街では、飲食店や大型のショッピング施設も開店しているところも増え、少しづつではありますが、賑わいが出てきたように感じます。

 

 

とは言っても、北九州市での第2波のニュースを見ると、どの地域においても油断はできない状況であり、とても複雑な思いです。

 

 

 

(日経アーキテクチュア 5-28号より)

 

 

日経アーキテクチュア5-28号の記事ですが、コロナ・ショックの建築界への影響についての記事が記載されていました。

 

 

店舗や事務所、工場といった建築需要は、このコロナの影響により、需要が減少する事は確かです。さまざまな業種でリーマンショックを超える経営難に陥ってしまっているのではと感じます。

 

 

私達が係わる福祉施設においても、もちろん影響が無いわけではありませんが、大きく状況が変化するとは思っていません。

 

 

前にも書きましたが、建設現場でのコロナ対策において、一日の作業人数を減らしたり、極力密を避けるための工夫や衛生面での配慮も意識されている現場がほとんどです。

 

 

特に特別養護老人ホームの整備においては、補助金事業であり、介護保険制度の上での施設整備である事から、店舗や事務所建設のようにこういう状況に陥っても工事を中止するという事にはなりません。

 

 

むしろ、高齢者の方々の生活を守るために、一日でも早く整備しなければいけないという状況にあり、高齢者の命にもかかわる問題だと考えています。

 

 

建設コスト事情については、2020年前半までは、緩やかに上がっているという感じでした。労務費についてもここ数年は上がり続けているという印象です。

 

 

今後においては、今回のコロナの影響で、建築業界についても、建設工事の絶対数は落ちるのは目に見えており、厳しくなるとともに建設コストについては、仕事の確保という意味で、少し下がる方向にあると予測されています。

 

 

事業主にとって建設コストが下がるというのは、喜ばしい事ですが、社会全体で考えると、とても喜べない状況で複雑な思いです。

 

 

今後、まだまだ状況は変化していくと思いますが、高齢者、障害者の住空間の整備はどんな状況にあっても急務であることは確かです。世の中の状況をみながら、いつの日かコロナが完全に終息し、みんなで集まれる、コミュニティー溢れる施設づくりを提案していきたいと思います。




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