既存建物を活かす高齢者施設

高齢者施設や障害者施設の設計において、既存敷地内への増築を行う事への相談は多く、実際に何回かの増築を重ねながら規模を拡大したり、用途を追加したりしている施設は多くあります。

 

 

そういう状況の中で問題となるのが、違法な建築物や違法増築がある場合の増築です。

 

 

 

日経アーキテクチュア2019-5-9より

 

「違法建築物」というのは、建設の際に建築確認申請を取得せずに建築をしたもので、文字のとおり法律に違反している建築物です。

 

 

一般の人になじみのない言葉で

「既存不適格建築物」というものがあります。

これは、建設時にはその時の建築基準法に適合し建設したが、その後の法改正により現在の法律に適合していない建築物の事をいいます。

 

 

建築基準法の改正は随時行われていますので、古くなった建物は基本的にはこの「既存不適格建築物」に該当してきます。

 

 

 

建物を増築する場合や大規模の模様替え、用途変更などの際に建築確認申請の必要性が出てきますが、この段階で違法建築物が敷地内にある場合は、これを是正してから増築等の申請を行わなければいけません。

 

 

それに対して、「既存不適格建築物」についても、原則として、現在の建築基準法に適合させなければいけませんが、法律において緩和部分があり、全く不可能になるわけではありません。

 

 

「既存不適格建築物」は違法ではないため、そのような緩和条件が出てくるのですが、当然、そちらの方が増築等の可能性は増す事になります。

 

 

よくあるケースとしては、ホームセンター等で購入できる簡易な物置等の設置です。

 

 

福祉施設においては、施設建設後、保管する書類が増えてきたり、防災用品をストックする場所が欲しくなったりというケースはよくある話です。

 

 

一般にはわかりにくいのですが、壁と屋根があると建築物という扱いになるため、物置を置く場合も建築基準法の対象となってくるのです。

 

 

増築やこうした物置の問題などは、専門的な知識が必要にある事から、専門家にチェックしてもらう事をお勧めします。

 

 

今後、ますます増えていく増築や用途変更の可能性を確保する事もそうですが、それ以上に、利用者の安全安心を守るために注意しなければいけない問題だと感じています。




高齢ドライバーの事故

高齢者の運転する車での人身事故の報道が増えており、とても悲しいと同時に、高齢者だけではない問題として、交通安全に対して考えさせられます。

 

 

朝日新聞DIGITALより

 

 

日本の高齢化率は平成29年10月時点で27.7%で、65歳以上の高齢者の人口は3515万人となっています。

 

 

これだけの超高齢社会において、さまざまな問題はありますが、高齢者の交通事故の問題は第三者も巻き込んでしまう事があり、とても深刻な問題だと感じています。

 

 

交通事故については以前から対策は行われてきており、免許証の返納や免許更新時の認知症チェックなども実施されています。

 

 

自己の原因で良く聞かれる、アクセルとブレーキの踏み間違いの対策としても様々な安全装置も出てきていますがなかなか導入は進んでいないのではと感じます。

 

 

人生の最終段階で、こうした人身事故を起こし、加害者も被害者も精神的なダメージはとても大きく、本来であれば穏やかに暮らす生活自体が変わってしまうのです。

 

 

もちろん安全装置等の対策も必要ですが、運転に対する責任の意識は高齢者にかかわらずとても重要だと改めて感じています。




平塚の高齢者施設

世間では10連休となり、5月1日には「令和」という新しい元号で新しい時代がスタートしました。

 

 

私たちも、常に新しい福祉施設を追究し、提案し続けていけるように頑張っていきたいと思います。

 

 

今日は、現在、平塚市内で建設中の高齢者施設の現場に行ってきました。

連休明けの検査、引渡となることから、この連休中も日曜日以外は、所長をはじめ職人さんたちは頑張ってくれています。

 

 

 

 

先日の雨もあり、最後の追い込みとなる外構工事が少し遅れてきていますが、建物としては、ほぼ完成形が見えつつあります。

 

 

平塚市内の住宅地の一角ですが、地域との係わりを重視し、運動する事で、地域の高齢者の方々が少しでも長く元気でいられる事を目指しています。

 

 

 

 

周辺環境との調和を考え、建物は木造で小規模なものとし、外部についても極力、要素をそぎ落としたシンプルな構成としています。

 

 

 

地域の高齢者の為の施設ではありますが、いろいろな世代の人たちが、気軽に入って来られるような計画としています。

 

 

ここに通う高齢者が、地域の子ども達や若者たちと会話し、楽しみながら運動ができる場所になればと考えています。

 

 

6月からの開所を目指して、ソフト面についても準備が進んでおり、工事についても残すところあと少しとなりました。完成が楽しみです。




なぜ人と人は支え合うのか

「なぜ人と人は支え合うのか」〜「障害」から考える〜

著:渡辺一史

 

 

 

 

一冊の本に出合いました。

障害者をテーマに人と社会、人と人が支え合うことの意味を改めて見つめなおす。そんな内容の本です。

 

 

「障害者は本当にいなくなった方が良いのか」

記憶に新しい、相模原市でおこったやまゆり園での障害者殺傷事件。衝撃的な事件は、植松容疑者の考えや言動にも衝撃を受け、改めて障害者の事を考える事となりました。

 

 

著者が実体験において障害者の方々と接し、そんな体験をとおして障害者との係わりや社会との向き合い方を生々しく描いている作品です。

 

 

人と人が支え合う事。これは健常者でも障害者でも同じことだと思います。

どんな人でも一人では生きていけません。人と人がコミュニケーションをし、助け合って生きているのが社会というものです。

 

 

どのように障害者に接したら良いのか。

多くの人は恐らくそう感じる事もあると思います。

 

 

社会の仕組みや障害者支援の制度、日本の社会において障害者と健常者という壁を壊していく事がこれからの課題だと私は考えています。

 

 

障害者と地域の方々、子ども達、高齢者、皆が分け隔てなく集い、支え合っていく社会となっていくように、私たちは、建築という分野から、建築空間をとおして提案し続けていければと改めて感じました。




福祉施設における音の問題

日経アーキテクチュア3-14で「過敏になる音問題」という特集記事がありました。

 

 

 

建築におけるトラブルで多いのが、この音に関するものです。

 

 

先日、建築基準法違反の問題が取り上げられたレオパレスの問題は、界壁の防火対策についてでしたが、集合住宅での隣室との音についても問題になる事が多くあります。

 

 

先日、そんな話題のなか特別養護老人ホームの打合せの中でも個室間の遮音の話となりました。

 

 

特別養護老人ホームにおいてもユニットケアとかプライバシー確保といった言葉はよく出る言葉ですが、実際に個室間の壁の遮音性能を規定する法律はありません。

 

 

しかし、プライバシー確保という方向であるため、現実的には音の問題はとても重要だと感じています。

 

 

特に、個室間や個室と便所の間の壁については気を遣うところです。

福祉施設においては特に、夜中に便所にいく高齢者は少なくありません。そんな時に隣の部屋の方に音が漏れてしまっては大変な事です。

 

 

それ相応の遮音壁にする必要があると思っています。

 

 

また個室間についても、防火上主要な間仕切壁についてはボードを両面二重張りとするのですが、その他の壁については一枚張りであったり、天井裏まで張っていない場合があります。

 

 

昨今ではプライバシー確保について補助金を受けられる時代です。

福祉施設においてもこうした音の問題は利用者にとってもかなり重要な問題といえます。

 

 

音の問題は壁だけの問題でもありません。開口部や設備貫通などによっても問題となるケースが出てきます。これまでのノウハウを活かしながら福祉施設においても常に意識していきたい問題だと改めて感じました。

 




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